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ストレス

ストレスとは

ストレスとは、外部からの刺激によって生じる心と体のゆがみ(ひずみ)のことです。歪みを生じる刺激をストレッサーと言いますが、一般にはストレスという用語がストレッサーと同義で使われています。

ストレッサーが負荷されると、自律神経系は交感神経緊張状態になります。内分泌系では視床下部-下垂体-副腎皮質系の機能が亢進しコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。過剰に分泌されたコルチゾールによって脳内の遺伝子発現の変動が引き起こされ、(ベージ下部に示すような)ストレス関連精神疾患を発病すると考えられています。免疫系では、ストレス状況で胸腺リンパ器官が萎縮し、免疫機能が低下し、アレルギー性疾患や自己免疫疾患が増悪しやすくなります。

ストレス(ストレッサー)の種類

ストレスは、物理的ストレッサー、化学的ストレッサー、心理・社会的ストレッサーに分類されます。多くの方のストレスは対人関係に起因しますので、心理社会的ステレッサーが主であると思いますが、それ以外のストレッサーが複合的に組み合わさっていることも多いようです。

物理的ストレッサー

気温の変化、騒音、混雑など

化学的ストレッサー

タバコ、カフェイン、アルコール、薬(処方薬から違法薬物までを含む)

身体的ストレッサー

身体疾患による頭痛、腰痛などの体の痛みや、肩こりなど

心理・社会的ストレッサー

友人、家族間の問題、学業や仕事の問題など

コロナとストレス

新型コロナウイルス(以下コロナと略)に伴う外出制限によるストレスを例にあげてみましょう。

コロナの物理的ストレッサー:日光に当たる時間の減少

コロナの化学的ストレッサー:アルコール消毒の多用

コロナの身体的ストレッサー:運動不足に伴う体重増加

コロナの心理・社会的ストレッサー:

  • 仕事(学業)の継続や、経済的問題のストレス
  • 外出して友達と会って話したり、外食をしたり、買い物やスポーツを楽しむ、などの趣味や娯楽の機会の減少
  • 独居者や高齢者の孤独感の増大
  • 家族関係に既に問題があった場合、長時間一緒に過ごさねばならないストレスの蓄積

コロナのストレスが睡眠や免疫に及ぼす影響は、コロナと睡眠障害のページにまとめていますのでご興味ある方はご一読ください。

ストレスは悪いこと?

外部環境の変化がストレッサーとして負荷されても、心身の内部環境の恒常性を維持する機構が人には備わっており、これをホメオスタシスと言います。心身に適度なストレスが加わってもホメオスタシスが維持できていれば健康状態を維持できます。それどころか、適度なストレスに曝されることにより心身は鍛えられ成長し、体力や免疫力、知能の向上、人格の成熟を認めるのです。特に心の成長は老年期に渡っても続くと言われており、心理学では、長年の経験により獲得される言語力、理解力、洞察力を結晶性知能と呼んでいます。しかし、ひとたび過重なストレッサーによりこの機構が破綻すると、ホメオスタシスが維持できなくなり、さまざまな心療内科で扱う心身の病気を引き起こします。

ストレス反応の種類

過重なストレッサーによって引き起こされるストレス反応は、心理面、身体面、行動面の三種類に分類されます。心理面のストレス反応には、抑うつ気分、意欲の低下、不眠、イライラ、不安などがあります。身体面のストレス反応には、全身のかゆみ、蕁麻疹、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、発汗、腹痛、食欲低下、便秘や下痢、げっぷなどさまざまな症状があります。また、行動面でのストレス反応には、インターネットやゲームへの依存、飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスの増加などがあります。

ストレスが原因で起こる症状

ストレスが原因で起こる自覚症状で頻度の高いものは、

  • 体の痛み(頭痛、腹痛など)
  • かゆみ
  • 便秘、下痢、吐き気など消化器関連の症状、
  • 喉の違和感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 起床時の眠気(起きにくさ)

などがあります。もちろん、これらの症状は体の病気によって起こることもあるため、まずは体の病気の除外が必要です。

ストレス関連の体の病気(身体疾患)

  • 過敏性腸症候群
  • 逆流性食道炎
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 神経性胃炎
  • 神経性嘔吐症
  • 月経(生理)不順
  • ED(勃起不全)
  • 高血圧
  • 起立性調節障害
  • 筋緊張性頭痛
  • 偏頭痛
  • 慢性疼痛
  • 口腔心身症
  • 気管支喘息
  • アトピー性皮膚炎
  • 蕁麻疹
  • 円形脱毛症

上記の疾患(症状)は、先天的(遺伝的)な体質によるところも大きいですが、ストレスが加わることでより発症しやすくなり、症状も悪くなりやすいと言われています。

ストレス関連の心の病気(精神疾患)

適応障害

経済問題、健康問題、対人関係の悩みなど、ストレッサー(ストレスとなる要因)に反応して3か月以内に発症する、情動面(不安や抑うつ)や行動面の障害(仕事に行けなくなる、家事ができない、など)です。原因となっているストレッサーが消失すると、適応障害の症状は6か月以内に回復します。DSM-5では正常な死別反応は適応障害に該当しないとされています。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

著しく外傷的な体験に遭遇することによって引き起こされる反応性の精神障害です。当初は戦争や、性暴力などの非日常的な体験が想定されていましたが、最近は出産時のトラブル(大量出血や、緊急帝王切開など)でも発症する場合がある事が注目されています。

  1. 体験の情景が意志に反してありありと再体験されるという侵入症状(フラッシュバックと悪夢)
  2. 自律神経系の過緊張を伴う不安としての過覚醒
  3. 体験に関連した刺激や状況に近づく事ができなかったり、体験について考えようとすると現実感がなくなるといった回避・麻痺症状

これらの症状が外傷体験後1か月間以上続きます。(または外傷体験後に数週から数ヶ月に及ぶ潜伏期間を経て発症する場合もあります。)

急性ストレス障害

著しく外傷的な体験に遭遇することによって引き起こされる反応性の精神障害です。代表的な症状として、記憶が飛ぶ、現実感覚がなくなる、感情がなくなる、など(解離性症状)や、フラッシュバックなどがあります。PTSDとの最大の違いは、症状が外傷体験後3日から1か月以内の期間におさまる点です。

お勧めできるストレスの発散方法とは

ストレスの発散方法は人により違いますが、多くの方にお勧めできるのは、

  • 散歩などの有酸素運動
  • 日光浴(特に午前中)
  • 好きな香りを嗅ぐ、音楽を聴く、入浴など感覚を穏やかに刺激する活動
  • 気心の知れた相手と(長時間にならない程度に)会話

です。

あまりお勧めできない活動は、

  • 飲酒
  • インターネットゲーム
  • パチンコ

など依存性の強すぎる活動です。依存症というのはコントロールの障害ですから、もちろん時間や量をコントロールできていればこれらをストレスの発散方法としても問題はありません。しかし、長年は依存症になることなく節度をもって楽しめている方でも、強いストレスにさらされると急に依存症となる人もいるので注意が必要です。

ストレスの治療

(※全ての治療が当院で実施できるわけではありません。まずは受診の上ご相談ください。)

環境の調整

先述の通り適度なストレスは心身にとって有用なのですが、ストレッサーが強すぎて心身のバランスを崩している場合には、一時的にストレッサーを調節することが治療になります。

「仕事を減らせばよい」「環境を変えればよい」と単純に思われるかもしれませんが、自分自身でちょうど良い具合に環境を調節することは容易ではなく、それができるなら病気にはなりません。多くの方は「甘えではないか。」「周りに迷惑をかけるのではないか」などと葛藤して無理をしすぎた結果、より重症になって回復に時間がかかってしまうケースが非常に多いです。また、一度、ストレッサーを減らすことができ病状が回復したとしても、復帰することに恐怖を感じ躊躇してしまい適切なタイミングで復帰できなかったり、逆に十分に心身が回復していないにも関わらず復帰を急いでしまい、また症状がぶり返す、などということもよくあります。当院では、専門的な立場から環境の調整方法や適切な復帰の時期を助言させていただきます。また守秘義務を厳守することが原則ですが、患者さんから希望がある場合に限り、家族、職場の上司や、学校の先生などとも環境の調整方法について相談をさせていただきます。

薬物療法

あくまで補助的な手段になりますが、うつ、不安、不眠などの精神症状や、体の痛み、かゆみ、吐き気が重篤な場合には薬による治療を行います。抗うつ薬としては抑うつ症状や不安症状を緩和するためにSSRIが選択される事が多いです。抗うつ薬の詳細についてはうつ病の診断・治療のページを参照してください。当院では、患者さんの「できる限り薬の使用を避けたい」、「漢方を中心に使って欲しい」などのご要望に可能な限り応えて治療を行います。お気軽にご相談ください。

心理療法

ストレスに対する対処法(ストレスコーピング)について話し合うなど必要に応じ、心理士による心理療法を行います。患者さんの同意が得られれば、ストレスを感じる場に徐々に慣れていく暴露療法を用います。

心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)

暴行や性被害など、著しく非日常的な外傷的体験を受けた直後の方に対して行うべき人道的・支持的な原則的対応です。

  • 実際に役立つケアや支援を提供する、ただし押し付けない
  • ニーズや心配事を確認する
  • 生きていく上での基本的ニーズ(食料、水、情報など)を満たす手助けをする
  • 話を聞く、ただし話すことを無理強いしない
  • 安心させ、心を落ち着けるように手助けする
  • その人が情報や、サービス、社会的支援を得るための手助けをする
  • それ以上の危害を受けないように守る
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