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双極性障害(そううつ病)

双極性障害(そううつ病)とは

私たちはみな、気分の良い日、悪い日があり、良いことがあると気分が晴れやかになり口数もふえ、悲しいことがあると気分は落ち込みで口数も減ってしまいます。しかし、双極性障害(そううつ病)の方は、健康な方の気分の浮き沈みと比べると、浮き沈みの程度が激しいか、持続時間が長く、社会的、職業的機能の障害をもたらすことが特徴です。

双極性障害(そううつ病)になりやすい人の性格は

双極性障害(そううつ病)になりやすい人は、社交的で、他者と同調して生きようと努める現実指向性の高い性格傾向であり、ドイツのクレッチマー(Kretschmer E)はそういった性格傾向を循環気質と呼びました。特に激しい躁状態になる人は、元来のエネルギー水準が高く活動的な方が多いと言われています。

双極性障害(そううつ病)の診断、分類(DSM-5)

DSM-5という診断基準では、躁病エピソード軽躁病エピソード抑うつエピソード混合性エピソードという病相を定義し、過去にこれらのどの病相を認めているかによって、以下のように双極Ⅰ型障害双極Ⅱ型障害、気分循環性障害と分類しています。

  • 双極Ⅰ型障害:1回以上の躁病エピソードが存在する
  • 双極Ⅱ型障害:1回以上の軽躁病エピソードと1回以上の抑うつエピソードが存在する
  • 気分循環性障害:2年間以上の期間、複数の軽躁病エピソードと、抑うつエピソードに至らない抑うつ症状を示す時期がある。

躁病エピソードと軽躁病エピソードの違いは、高揚した気分(または易怒的な気分)と症状の持続期間の長さです。躁病エピソードでは1週間以上軽躁病エピソードでは4日以上、ほぼ毎日、1日の大半において持続します。

双極Ⅱ型障害は、初対面では専門医であっても、残念ながら躁症状に気づくことが難しく、当初うつ病と診断され治療が開始され、経過をみていくうちにうつ病が否定されて、双極Ⅱ型障害と診断が変遷することが多いです。

急速交代型双極性障害(ラピッドサイクラー)とは

休息交代型双極性障害(ラピッドサイクラー)とは、「年4回以上の躁病相、うつ病相もしくは混合性病相を認める、治療反応性の低い双極性障害(そううつ病)」のことです。双極性障害発症時より急速交代型の方は2〜3割で、発症後一定期間を経て休息交代型になる方が7〜8割とされています。発症後に急速交代型になるまでの期間は平均3〜12年と言われています。休息交代型双極性障害(ラピッドサイクラー)の危険因子として、若年発症、女性、うつ病で発症、甲状腺機能低下、リチウム不反応などが挙げられます。

双極性障害(そううつ病)の症状

高揚した気分(または易怒的な気分)」の他、以下のような症状が3つ以上(気分が単に易怒的な場合は4つ以上)満たされる必要があります。

  1. 自尊心の肥大
  2. 睡眠欲求の減少
  3. 多弁
  4. 観念奔逸(かんねんほんいつ)
  5. 注意散漫
  6. 過活動
  7. 快楽的活動に熱中
  • 高揚した気分(または易怒的な気分)」とは、快活で陽気、多幸的な気分がいきすぎた状態です。あること(例えば掃除など)に異常に熱中したり、知らない人に積極的に話しかけたりします(気分高揚)。いらいら感が強くなって怒りやすくなることもあります(易怒的)。
  • 自尊心の肥大」とは、自信過剰な状態から、自分の才能や交友関係を妄想的に誇大に考える状態までさまざまです。
  • 睡眠欲求の減少」とは、活気に満ちて早く目が覚め、眠りたいと思わなくなる状態のことです。何日間も眠らなくても疲れを感じなくなる場合もあります。
  • 多弁」とは、大きな声で早口で急かされるように話したり、場合によっては一方的に何時間も話し続けたりする症状です。
  • 観念奔逸」とは、会話の途中につぎつぎと話題が飛んだり、だじゃれを連発したりする症状です。
  • 注意散漫」とは些細なことで気が散る症状です。
  • 過活動」とはいろいろな活動に気の向くまま、計画性がないままに手がけたりする症状です。
  • 快楽的活動に熱中」とは、例えば買い物やギャンブル、性行為などに熱中する症状です。

双極性障害(そううつ病)の原因

うつ病と比較すると双極性障害(そううつ病)は遺伝的要素が強いといわれています。ストレスを契機に発症することもあれば、契機がはっきりしないこともあります。

双極性障害(そううつ病)はうつ病と誤診されやすい?

双極性障害(そううつ病)の方は、最初うつ病という診断を受ける事が多いです。なぜなら初発で抑うつ状態がみられた後に、そう状態(軽そう状態)がみられることが多いからです(5〜10%程度)。その場合、専門医であっても経過をみないと双極性障害(そううつ病)と診断することは出来ませんから、診断名が変わることは止むを得ないことです。これまでの報告では、うつの症状で双極性障害(そううつ病)の可能性が高い因子として、若年発症(25歳以下)、過眠、食欲亢進、精神病症状、うつ病相の再発(5回以上)、双極性障害(そううつ病)の家族歴が挙げられます。

双極性障害(そううつ病)に間違われやすい身体疾患(薬)とは

身体疾患や、薬剤など外的な要因によって、双極性障害(そううつ病)と同様の症状が認められる事があり、二次性躁病などと呼ばれます。原因となる身体疾患、薬剤には以下のようなものがあります。

  • 甲状腺機能亢進症
  • 全身性エリテマテーデス(SLE)
  • ハンチントン舞踏病
  • 副腎皮質機能更新症(クッシング症候群)
  • 脳血管障害・脳器質性障害
  • 内分泌疾患
  • 代謝性疾患
  • 感染症
  • 抗うつ薬・抗精神病薬の内服
  • ステレイドや性ホルモンの内服
  • ドパミン系薬剤の内服
  • HIV治療薬の内服

双極性障害(そううつ病)の疫学

発症年齢は18歳頃が多いとされており、これはうつ病の発症年齢より低くなっています。10歳以下でも発症する例が稀ではありません。双極性障害の発症頻度に性差は認めず、生涯有病率は1パーセント程度です。双極性障害では、肥満を有する方が50%以上で、Ⅱ型糖尿病の合併も10%と報告されています。

双極性障害(そううつ病)の治療

(※全ての治療が当院で実施できるわけではありません。まずは受診の上ご相談ください。)

①休養をとるための環境づくりの支援

双極性障害(そううつ病)の治療に最も重要なことは、ご本人と周囲の人が病気を理解し、十分な休養をとることです。それは簡単なことのようですが、実際には躁病期には病気の認識(病識)に乏しいことが多く、休養と治療の必要性を簡単には受け入れてもらえないことが多いです。また経済的な理由や、介護など家族関係の理由から本人が実際に休息をとることが難しい場合もあります。当院では、まず病気についての説明を患者さんとご家族に行い、ご本人が休息をとるためにどのような環境づくりをしていくかを共に考え、アドバイスさせていただきます。症状の重篤さに応じ、医師が診断書を記載して休職(休学)をしていただく場合もあります。治療期間は非常に治療が上手くいった場合でも最低6〜8週間は必要です。職場復帰に際しては、職場の健康管理医や人事担当者と相談して、可能な限り馴らしのステップを踏めるように調整します。経済的な問題や、家族関係の問題を抱えていらっしゃる場合には、本人のみならず家族に対し、医師、精神保健福祉士より様々な医療・福祉サービスの活用を提案いたします。

②維持療法

双極性障害(そううつ病)の治療で重要な点は、急性期治療と並んでいかに再発を防止するかということです。双極性障害は再発性であり、再発により社会生活を中断することでの損失は極めて大きいことから考えると、再発予防は最大の課題といえます。再発予防のためには、単に薬物療法を維持すればよいというわけではなく、ご本人、ご家族が双極性障害を十分に理解していただき、再発予防の重要性を認識した上で、症状再燃の兆候を見逃さずに早期に対処することが重要です。

双極性障害(そううつ病)の薬

双極性障害の薬物治療の第一選択は気分安定薬または抗精神病薬(統合失調症で用いられる薬)による単剤治療です。その他に急性期(症状が比較的重い時期)では睡眠薬や、ロラゼパム、クロナゼパムなどの抗不安薬を併用することがありますが、これらは依存性や耐性の観点から可能な限り短期間の使用に止めるべきだとされています。気分安定薬にはリチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンなどがあり、抗精神病薬にはアリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ルラシドン、ハロペリドールなどがあります。

気分安定薬は徐々に使われなくなっている?

我が国ではリチウムを筆頭とする気分安定薬の使用は徐々に減少しており、抗精神病薬に取って代わられつつあります。その理由として以下の5つが考えられます。

  1. 抗精神病薬と比較すると即効性に欠ける
  2. 有効血中濃度と中毒が出現する濃度が近接しているため、血中濃度を測定しながら投与量を決める必要がある
  3. 薬の相互作用に留意する必要がある
  4. 肝腎機能、甲状腺など臓器障害に特に留意する必要がある
  5. 胎児の催奇形性があり、女性にとっては妊娠出産への影響が大きい(特にバルプロ酸、カルバマゼピン、リチウム)

しかし、再発予防効果という点では、抗精神病薬よりも気分安定薬リチウム、バルプロ酸の方が勝っているという報告もあり、リチウムは双極性障害の長期的な薬物療法として現在でも第一選択薬です。気分安定薬は専門医の指導のもと、計画的に使用すれば安全に使用でき、双極性障害(そううつ病)の人が社会で安定的に暮らすための大きな助けになります。以下、気分安定薬、抗精神病薬の順にそれぞれの薬についてみていきます。

双極性障害(そううつ病)によく用いられる気分安定薬

リチウム(商品名リーマス、炭酸リチウム)

もっとも歴史がありながら、中等症から重症のそう病に対して極めて有効であることから、今でも世界中の第一線で使われている気分安定薬です。日本ではそう状態にのみ適応がありますが、うつ病相に対する治療効果も認められているほか、そううつ病の病相予防効果は多くの比較試験で確認されており、予防のための長期投与でも行われており、双極性障害の長期的な薬物療法として現在も第一選択です。臨床試験でのメタ解析では、リチウムは双極性障害の自殺企図と自殺既遂の危険性を80%減少させたとされており、双極性障害(そううつ病)以外の病気でも、攻撃性の治療や自傷行為、自殺企図の予防で用いられる他、うつ病の増強療法などにも使用されます。本剤は有効用量を開始してから血中濃度が有効範囲に達するまで1〜2週間かかるため、早期の鎮静を要する場合には、一時的に抗精神病薬、抗不安薬などの併用を行います。

リチウムの副作用は?注意すべき点は?

内服開始直後の副作用としては、手の震え、吐き気、下痢、口の渇き、多飲多尿を認めることがありますが、多くは一過性です。至適な血漿濃度ですが、予防としての投与であれば最小有効濃度は0.4mmol/L、至適濃度は0.6-0.75mmol/Lです。0.75mmol/Lを超える濃度では躁症状に対してのみ予防効果が増強するとされています。急性の躁病エピソードに対しては一時的に投与量を増やして1.0-1.2mmol/Lまで増やすことがあります。血中濃度が1.5mmol/Lを超えると毒性が生じ、食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状、筋力低下、傾眠、意識障害、粗大な震え、筋肉のピクつき(痙縮)が顕著にあらわれることがあります。リチウムは腎臓で排出される薬であり、長期投与で腎機能および甲状腺機能の低下を招く場合があるため採血にて定期的に腎機能、甲状腺機能のチェックが必要です。また、心疾患の既往のある方では、不整脈の悪化や、洞機能不全、洞房ブロック、房室ブロックをきたす報告があるため慎重投与とされています。リチウムは飲んだり飲まなかったりすると逆に双極性障害(そううつ病)の経過を悪化させる可能性があります。また中止すると最初の数ヶ月で非常に多くの方で躁病の再発がみられるため、少なくとも3年間は継続する意志がないと気分安定薬としてのリチウムの投与は開始すべきではなく、減量中止する場合には時間をかけてゆっくり行います。他の薬剤との相互作用ですが、降圧薬であるACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬、NSAIDsという種類の疼痛薬(市販の痛み止めの薬など)は、リチウムの血中濃度を最大4倍程度増加させる可能性があるため注意が必要です。また、胎児への奇形(特にEpstein奇形など心血管系の奇形)の頻度が高いと言われており、妊娠の可能性がある方の場合には避けるべきとされています。

ラモトリギン(商品名ラミクタール)

もともと、てんかんの薬として適用がある薬ですが、2011年に双極性障害における気分エピソードの再発、再燃抑制に適応追加されました。本剤は抗躁効果や、躁病エピソードの予防効果は乏しい一方で、双極性障害(そううつ病)におけるうつ病エピソードに対して有効であり、予防効果も優れているため、双極Ⅱ型障害や気分循環性障害に有効とされています。

ラモトリギンの副作用は?注意すべき点は?

副作用としては、承認用量にて3%程度皮疹が出現するとされており、皮膚粘膜眼症候群や、中毒性表皮壊死症などの重症皮疹には注意する必要がありますが、それを除くと重篤な副作用は少ないです。本剤による重症皮疹は最初の8週以内の出現が大半であり、有効用量に満たない少量から時間をかけて増量していきます。もし早期の鎮静を要する場合には、一時的に抗精神病薬、抗不安薬などの併用を行います。皮疹以外の副作用としては、眠気、めまい、複視(ものが二重に見える)、頭痛があげられます。他の薬剤との相互作用ですが、バルプロ酸(抗てんかん薬、気分安定薬)内服時は皮疹の出現頻度が増えるため慎重投与とされており、どうしても用いたい場合には開始時には隔日投与にし、増量もより時間をかけて慎重に行います。他の気分安定薬と比べ、催奇形性は低く、妊婦に対しても比較的安全と言えます。心循環系にも影響を与えません。

バルプロ酸(商品名デパケン、デパケンR、セレニカR)

もともとてんかんの薬として適用がある薬で、2002年に躁状態に適応が追加されました。躁病エピソードに対しては有効である一方で、双極性障害(そううつ病)のうつ病エピソードに対しては(有効であるという報告もありますが)効果は弱い傾向にあります。攻撃性を抑える効果に定評があり、てんかん、双極性障害以外でも、様々な原因から生じる攻撃的行動を治療するために広く使用されています。至適な血漿濃度ですが、予防としての使用であれば50mg/L以上の濃度が必要とされています。急性期の躁病エピソードに対する反応性は線形の関連があり、最小有効濃度は55mg/Lで、94mg/Lを超える濃度で最も効果があるとされています。

バルプロ酸の副作用は?注意すべき点は?

重篤な副作用は少ないが副作用として、胃部の不快感や、吐き気、手の震え、肝機能障害があります。肝機能障害は多くの場合は一過性のものですが、時に重症化すると高アンモニア血症を引き起こし意識障害を認める場合があります。また、バルプロ酸はヒトに対する主要な催奇形性物質であり、妊娠する可能性のある女性には禁忌です。他の薬剤との相互作用ですが、前述のラモトリギンの重症皮疹の出現を増やす他、抗血小板薬のアスピリン、抗凝固薬のワーファリンと併用すると毒性を起こすことがあります。

カルバマゼピン(商品名テグレトール)

てんかんや三叉神経痛の治療薬として用いられる薬ですが、そう状態に適応があります。双極性障害(そううつ病)のうつ病エピソードに対しては(有効であるという報告もありますが)効果は弱い傾向にあります。また、双極性障害の予防効果もリチウムより効果が低いとされています。血漿濃度ですが、抗けいれん薬として使用する場合には治療域は4〜12mg/Lとされていますが、双極性障害では少なくとも600mg/日以上の用量で、7〜12mg/Lの血中濃度が必要と考えられています。12mg/Lを超える濃度では効率に副作用が出現します。

カルバマゼピンの副作用は?注意すべき点は?

副作用として、めまい、傾眠、吐き気の頻度が高いです。その他、複視(物が二重に見える)、運動失調、頭痛、口の渇き、浮腫、低ナトリウム血症、水中毒、性機能障害、白血球減少が見られます。また、3%に全身性の紅斑性発疹を認めます。さらにバルプロ酸と同様にカルバマゼピンは催奇形性物質としてしられ、妊婦には禁忌となっています。カルバマゼピンは肝酵素を誘導することから他の薬剤との相互作用は注意が必要で、ほとんどの抗うつ薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬、睡眠薬、一部のコリンエステラーゼ阻害薬など多様な薬の血中濃度を低下させます。

双極性障害(そううつ病)によく用いられる抗精神病薬

オランザピン(商品名ジプレキサ)

双極性障害(そううつ病)の躁症状とうつ症状の両方に有効性が認められており、予防としても躁症状、うつ症状どちらにも効果があるとされていることから、有効性では少なくとも抗精神病薬の中で最強の薬であり、リチウムにも匹敵するエビデンスがあります。また、リチウム、バルプロ酸と併用して使用することも有効です。副作用としては、眠気、食欲亢進、体重増加、高血糖(低血糖)があり、糖尿病の方への使用は禁忌となっています。副作用がクエチアピンやアリピプラゾール、アセナピンよりも強いことから内服が継続できず、他の薬に変更を余儀なくされる場合があります。

クエチアピン(商品名セロクエル、ビプレッソ)

双極性障害(そううつ病)の躁症状とうつ症状の両方に有効性が認められおり、予防としても躁症状、うつ症状どちらにも効果があると報告されています。副作用には眠気、食欲亢進、体重増加、高血糖(低血糖)があり、オランザピン同様糖尿病の方には禁忌ですが、副作用での離脱(薬が続けられなくなること)はオランザピンやアリピプラゾールよりも頻度が低く、非常に評価が高い薬です。

アリピプラゾール(商品名エビリファイ、エビリファイLAI)

躁症状に対して適応があり、双極性障害のうつ病エピソードに対して効果は明らかではありませんが、予防としては躁症状、うつ症状どちらにも効果があると報告されています。抗精神病薬の中では珍しく体重増加が殆ど起きないことから重宝されています。副作用はアカシジア(そわそわ感)、不眠を認める場合がありますが、重篤な副作用は少ないです。長時間作用型の筋肉内注射剤が市販されており、薬の飲み忘れが多い人には有効です。

リスペリドン(商品名リスパダール、リスパダールコンスタ)

日本では双極性障害に対する適応はありませんが、躁症状に対して有効であり、多くの国で躁病の治療薬として承認されています。副作用として眠気、食欲亢進、体重増加、アカシジア(そわそわ感)が見られることがある他、高プロラクチン血症(月経不順、乳汁分泌)の頻度がやや高いです。長時間作用型の筋肉内注射剤が市販されており、薬の飲み忘れが多い人には有効です。

アセナピン(商品名シクレスト)

日本では双極性障害に対する適応はありませんが、躁症状に対して有効であり、多くの国で躁病の治療薬として承認されている舌下投与の薬です。副作用として眠気、口の感覚鈍麻、アカシジア(そわそわ感)、体重増加、筋肉のこわばりなどがありますが、副作用は作用機序が似ているオランザピンと比べるとマイルドであり、評価が高い薬です。

ルラシドン(商品名ラツーダ)

海外では以前より使用されており、2020年にわが国でも双極性障害のうつ症状に対して適応承認が得られた薬です。双極性障害のうつ症状に対してはジプレキサに匹敵するエビデンスがあります。副作用はアカシジア、眠気がありますが、副作用での離脱(薬の中断)はジプレキサ、セロクエルよりも少ないことから、双極性障害のうつ症状には極めて有望な薬といえます。

ハロペリドール(商品名セレネース、ハロマンス)

躁症状に有効であり、広く用いられてきた定型抗精神病薬(昔からあるタイプの抗精神病薬)です。長時間作用型の筋肉内注射剤が市販されており、薬の飲み忘れが多い人には有効です。副作用は、眠気、パーキンソン症状(手のふるえ、筋強剛、よだれなど)、アカシジア(そわそわ感)、血圧低下、心電図異常などがあります。

双極性障害(そううつ病)の薬はやめても良い?

双極性障害(そううつ病)は再発性であることから、内服治療は最低2年間行うべきとされており、さらに5年間の投与によって再発を減ずると言われています。減薬時も自己判断で行わず、かかりつけ医に相談して計画的に行ってください。

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