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ナルコレプシーなど過眠症群で用いられる薬

[2021.01.09]

ナルコレプシーは脳脊髄液のオレキシンという覚醒の維持に関わるホルモンの濃度が低いことが知られていますが、

現代の睡眠医学において、いまだ病態解明も不十分であり、治療選択が限られ患者さんが苦しんでおられる病気の筆頭が、ナルコレプシーをはじめとする過眠症群だと思います。

不眠や睡眠不足、リズムの問題でなく、(適切な睡眠習慣で)「寝ても寝ても眠い」という方ですね。

ナルコレプシーなどの過眠症群の治療と言ってもまず行うべきは、おカタい言葉でいうと、睡眠衛生指導といい適切な睡眠環境を支援させていただくことになります。

しかしながら、遺伝子によるところの大きいと言われているこれらの病気は、暴力的な眠気で、たとえ大事な場面でも一瞬で気を失って寝てしまうレベルの大変さですから、(睡眠環境の調節が最重要であることは疑いないとはいえ)、そのような話だけすると、患者さんからは「キレイゴトいってんじゃねぇ」とご叱責をいただきそうです。

そこで、次にお薬の治療…。というふうにすすんで行かざるを得ません。

実際、会社員の方であれば取引先の前で話している途中で寝てしまったとか、学生さんであれば受験など重要な試験中で寝てしまったとか、日常生活で壮絶なトラブルをよくお聞きします。そういった方は周囲からの理解が得られず罵倒されるなどとても苦しい思いをされていますからお薬の治療にも積極的に取り組んでくださいます。

きっとこのような苦しみの末、現在お薬による治療をご検討されている方もいるのではないかと思います。

お薬導入にあたって、

そもそも、眠気をとるお薬って実際どうなの?効くの?危なくないの?

という疑問があって当然ですから、本記事では現在、ナルコレプシーをはじめとする過眠症群で日本で承認されている薬を挙げ、使用感(患者さんのもたれる感想も含め)を簡単に述べたいと思います。

もっともよく効くお薬はメチルフェニデート(商品名リタリン)ですが、依存性が問題になっており、近年では適応が非常に厳しく制限されるようになってきました。現在はファーストチョイスではありません。ただ「良薬口に苦し」ではないですが、リタリンでしか治療効果がなく、この薬のおかげで辛うじて社会生活を送られている患者さんもおり、全否定はできないと、付言しておきたいと思います。

ペモリン(商品名ベタナミン)はその点の問題は少なく有用なお薬ですが、劇症肝炎のリスクがあり、アメリカなど他国では使用が禁止されるなど、一癖あるお薬です。

マジンドール(商品名サノレックス)も覚醒作用がありますが、日本では眠気治療に保険適応がなく、やせ薬としてのみ使用されていますね。リタリン同様依存性が問題として言われているお薬です。

比較的新しいお薬として、モダフィニル(商品名モディオダール)があります。モダフィニルは依存性が少なく、副作用も少ないので画期的なお薬ですね。最近条件付きで、睡眠時無呼吸症候群にも使用が承認されました。ただ、臨床での使用感として効果が実感できる方と、そうでない方のギャップが大きい薬で、1錠(100mg)でもものすごく効いたと言われる方がいる一方で、最大量の3錠(300mg)飲んでも全然効かないという方もいらっしゃいます。効かない方の多くはナルコレプシー1型などで、重度のEDS(日中の眠気)があるかたなんですね。(軽症の過眠症群の方や、CPAP使用している睡眠時無呼吸症候群にはある程度効く印象です。)中には自己判断で勝手に用法以上内服している方もいらっしゃいます。実際、海外の一部の国では用法の範囲がもう少し広いのですが、わが国では用法以上飲めばどのような副作用が起こるか予見できずもちろんお勧めできません。思い悩んだ末の行動だというのはわかるのですが。そういう経緯もあってか、今年から国の処方制限がさらに厳しくなりましたね(モダフィニルは乱用してコントロールできなくなる方って実際殆どいませんので、他の依存性のある向精神薬と比べて厳しすぎる気がしますが)。

現在の過眠症群の薬というのはこのあたりになります。

治療する側としても治療に限界を感じる場面では、非常に歯がゆいです。

しかし、モディオダールとは異なる作用機序の新しい薬も海外では承認されており、日本でも近い将来承認されることが予想されます。患者さんは決して絶望はしないで頂きたいと思います。

睡眠医療はまだ歴史が浅い分野であり、睡眠医療の研究に人生をかけて取り組んでおられる方々がおりますから、きっとブレイクスルーがあると思います。

当院では、強い日中の眠気で苦しんでおられる、地域の患者さんに寄り添い、眠気治療と、こころの諸問題に取り組んでまいります。

本記事では非常に眠気の程度が非常に強い方の症状につて描写させていただきましたが、「私、眠いけどそこまでではないわ…。」と腰がひけたかたも多いかもしれません。しかし、睡眠時無呼吸症候群や特発性過眠症、むずむず脚症候群などで軽度から中等度の眠気がある場合でも、少なからず日中の仕事や学業へのパフォーマンスの低下が起こり、それがずっと続くとなると多大な損失になります。

また睡眠時無呼吸症候群などの睡眠疾患は放置すると、高血圧や糖尿病など生活習慣病のリスクとなり、健康寿命を縮める場合もあります。何か、お役にたてることがあるかもしれませんから睡眠のお悩みでは当院にお気軽に当院にご相談ください。

ナルコレプシーの
わかりやすい解説はこちら!

 

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